「AやB」の表現は、「AとB」「AまたはB」「AおよびB」「Aおよび/またはB」等のように、AとBの間に特定の関係を持たせます。私は、特許明細書等の特許出願書類に「AやB」といった表現を使いません。
この「AやB」の「や」は、そもそもあいまいな意味を持つと言われています。たとえば、次の2つの文を比較してください。
1.チョコとクッキーを彼女にプレゼントしました。
2.チョコやクッキーを彼女にプレゼントしました。
上記1は、プレゼントにしたのは「チョコとクッキー」だけに限定しています。
それに対して上記2は、プレゼントにしたのは「チョコとクッキー」以外にもありそうですし、「チョコとクッキー」だけかもしれません。たとえばチョコとクッキーとケーキを彼女にプレゼントしたときに、ケーキを省いて上記2のような表現をしそうです。
上記1,2の文例では「や」は、英語で表すと「and」になることは共通しています。
しかし、日本語の「A や B」は英語では A and B となるときもあるし, A or B となるときもあります。
例えば「ロンドンや東京のような大都会」は large cities such as London and Tokyo もしくは a large city such as London or Tokyo で, 文法的または論理的に辻つまの合うように気を配って and と or を使い分けなくてはいけません。(Weblio)
このように、日本人には使い慣れ、日本語として一定の意味を伝えることができる「AやB」ですが、他の言語体系にすれば、「AやB」を正確には表現し難いのです。また、「AやB」は2以上の意味を表現するおそれがあり、特許明細書等に使うのは好ましくないと考えます。
また、外国出願の際に翻訳担当の人に、A and B とするか A or Bとするかを担わすのは、危険と考えます。
ただし、「AやB」を使って何のトラブルもなく、権利取得まで至っている特許もあります(むしろ、そのような特許の方が多いと思われます)。しかし、他に代替手段がなく、どうしても「AやB」を使わざるを得ない状況となることはまず無いと思われます。
これらの理由から、私は特許出願書類に「AやB」を使わずに、「AまたはB」「AおよびB」「Aおよび/またはB」の中から選ぶのです。
関連ページ:「PCT出願とは」 「外国出願をするべき場合とは」
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