最近、商品の特徴を端的に表現するネーミングの商標が、以前にも増して登録されにくくなっています。

その理由を説明します。

事例

例として、商標「七三カレー」を指定商品「カレー」について出願したとします。

この商標の由来は、カレースパイスの特定の成分(たとえば、ターメリック)と、他のスパイスの成分の比率が、7:3である商品を開発したことにあります。

このような商品を開発したので、商品の特徴を端的に表現した商標「七三カレー」を出願するのは、自然な流れです。

ウェブサイト情報に基づく審査

審査官は、インターネットでウェブサイト情報を探します。

そして、既に「七三カレー」が、スパイスの成分比を7:3の比率として使用されている事実を突きとめます。

そして、拒絶理由を通知してきます。その理由は、「七三カレー」のように、スパイスの成分比を特定の比率にし、その比率を「七三」と記載するのは、指定商品「カレー」の品質表示と認識され、指定商品「カレー」に「辛口」と表示するのと変わらない。

指定商品「カレー」に「辛口」と表示するのを、一個人にのみに独占的に認めるか否か(独占適応性)は、当然否定されるべきで、それと同じ理由で指定商品「カレー」に「七三」も否定されるべきである。

このような審査が流行っています。数年前にはなかったと思われる審査方法です。

数年前なら、指定商品「カレー」に商標「七三カレー」は、登録されていた可能性があります。

ウェブサイト情報には、このような商品の特徴を端的に表現するネーミングが、商標登録されないものを含め、数多く掲載されています。

今までは、商標データベースを主に基礎として審査が行われてきたのです。

このような理由から、商品の特徴を端的に表現する商標が、登録されにくくなっているのです。

疑問点等

  • この審査方法では、たとえば、クックパッド(登録商標)等に2,3記載された、小さな情報も根拠に挙げてきます。そのような情報によって、「そのように認識されている」といえるのか?
  • そのような疑問があるとしても、拒絶理由の通知から40日以内(反論可能な期間(原則))にどのような反論ができるのか?
  • この拒絶理由は、査定時にその要件を満たせば良いことになっているが、出願後に使用し始めた事実を根拠に審査をしても妥当といえるのか?たとえば、恣意的に特定の出願を拒絶に追い込むことが可能となるのは、問題ではないのか?
  • また、出願時にはサーチエンジンに収録されてないか、収録されていても表示順位が低い場合でも、審査時には、表示順位が高い状態となっている情報もあります。そうなれば、出願人が拒絶理由を全く予測できない場合が想定されるが、出願人に酷ではないのか?(この点は特許出願と比べると、あまり酷出ないと言えるか?)