企業に埋もれている発明の発掘
経営者が社内の技術者に、「何か良い発明をしたら特許を出願しよう」と言ったとします。
すると技術者は、目的達成が困難で高度な技術のように、自分が達成感を得ることができた発明を完成したときに「良い発明をした」と、経営者に言いに来ることが多いと思います。
このように、技術者の多くは権利の強さとは無関係に発明を評価するでしょう。
技術の高度さと権利の強さは別
日頃から技術者として一生懸命仕事に没頭している人は、あまりにも低レベルな技術については、特許出願しようとはなかなか考えないと思います。
しかし、必須特許のような強い権利となる発明の中には、技術者が「これは新たな発明だ」と意識しないほどに低レベルなものがあります。
なお必須特許とは、その特許を利用しなければ、その製品を製造できない程、避けては通れない特許のことです。
このように、技術の高度さと権利の強さは別の判断が必要です。
技術を客観的にとらえる視点の重要性
企業に埋もれている発明は、大抵あるはずです。
しかし、客観的に技術を見ることができる視点を持った人がその発明を見つけてあげないと、発明が埋もれたままになるでしょう。
たとえば、「必須特許にできる可能性があった、もったいない発明」のリチウムイオン電池の例については、技術者の発言だけを絶対視すれば、出願時に「黒鉛」に限定すべき空気が会社内に作られることがあるかもしれません。
たとえば、その技術者の会社内での地位が高ければそのような傾向が強まるでしょう。
やはり客観的な視点を持って、その場の空気を読まずに発言できる人が出願時にいれば、事態は好転していたかもしれません。
現場の「あるある」
筆者が発明者と面談して、設計図を見せてもらう機会があります。
その際に「何故この形状にしたのか?」などと疑問点を質問してみます。
そして、その質問に対する回答をいただきますと、「何故この技術を特許出願しないのだろう?」と思うことがあります。
その旨を伝えますと、「これは当たり前の設計だから・・・」と、あまり根拠のなさそうな回答が返ってきます。
もしかして、非常にもったいないことをしてしまっているかもしれません。
まとめ
このような技術の中に、特許化の可能性のあるものが無いか再確認することで、企業に埋もれた発明を発掘してみることをお勧めします。
また、既に出願することが決まった発明について、発明に余計な限定をしていないかどうかの確認をすることもお勧めします。
このような客観的な視点は、弁理士が持っています。
「業務内容」にも、発明の発掘については記載しています。