「必須特許」の詳細については「必須特許にできる可能性があった、もったいない発明」を参照ください。
要するに「必須特許」とは、その特許を利用しなければ、その製品を製造できない程、避けては通れない特許のことです。
すなわち、「強い特許」のことです。
必須特許になった発明の例
ニッケル水素電池という再充電可能な電池があります。
この電池の負極には、水素吸蔵合金が使用されています。
この電池が実用化される前に、電池用の水素吸蔵合金の微細構造が、「長距離秩序の欠如した」構造であることを特徴とする発明が特許出願され、特許されました。
金属を扱うエンジニアには、わかると思いますが、通常の合金製造技術ではこの「長距離秩序の欠如した」構造になります。
この特許を回避する代替技術としては、「単結晶」の水素吸蔵合金を作る技術が考えられます。
しかしながら、「単結晶」の合金を製造することは、全く現実的でない程のコストがかかります。
そのため、この発明は不可避的な技術(必須特許)となりました。
(参考:日経ビジネスONLINE 特許マネジメントが下手な日本 知財戦略を欧米に学べ2012年12月12日 等)
また、特許を取得し、その技術内容を規格化(JIS等)して、その特許を必須特許にする戦略がありますが、この問題については別に説明しようと思います。
例1:「Adobe社のPDF製品が高い利益率を維持できるしくみ」